MAIN INTEREST 道木連の拘り
生物種としての広葉樹
世界中に針葉樹が500種あまりにとどまるのに比べて、広葉樹は数万種を数えています。広葉樹の豊かさに驚かされます。このことにより熱帯多雨林や温帯広葉樹林など世界各地に多種多様な広葉樹が繁茂する豊かな森林が生まれるとともに、広葉樹を利用した生活と文化が生まれてきました。
ダーウインによると、裸子植物から被子植物への変化がなぜに起こったのかは、今なお解明されていない「忌まわしき謎」ともいわれています。さて、その広葉樹の寿命はどのくらいか。樹種にもよりますが、ミズナラではたぶん800年程度、ニレ、カンバ類も500年ほどの寿命を持っていると思われます。江戸時代〜昭和・平成へと生きた人々の生命や息づかいが炭素となって木々の中に静かに眠っている、そんなことを考えると、何か神秘をかんじませんか。
何故今広葉樹なのか
かつて北海道には、大径で通直ないわゆる銘木といわれる広葉樹が広く地域を覆っていました。現在は質量ともに減少していますが、道産広葉樹はかつてヨーロッパなど海外まで輸出された歴史をもっています。一方で現在はカラマツ・トドマツが道内で生産される木材の主体となっていますが、広葉樹はその中にあって、山中で芽生え、じっくりと成長を続けている、大きな自然の恵みです。北海道の広葉樹文化を絶やすことなく、また多様な用途に用いることにより、ゆっくりではありますが北海道全体の森林の価値を高めることが出来ると考えています。
広葉樹の文化的な価値
道内の広葉樹は、縄文時代中期、現代より少し温かかった時代に道内全域に生息域を拡大し、縄文人の生活の基礎となったと思われます。オヒョウやシナノキの繊維を糸として編み込んだアトゥシ、生活や祭礼道具、ムックリなどの楽器、弓やとがり棒といった狩猟道具も木でできていて、樹種の特徴を活かした使い方がされています。また、山が豊かなことで木の実や山菜が豊富に採れ、エゾシカなどの狩猟が発達、さらに山からの栄養が海に流れ出して貝類や魚類、海獣までを養いました。縄文文化は森・広葉樹の文化です。また、北海道の開拓時代は、入植された方々にとって広葉樹を用いた「炭生産」が現金収入の大きな柱となりました。時代は下って、旭川を中心とした家具産業は現在でも道内の質の高い広葉樹を使って優れた作品群を作り上げてきています。これも広葉樹の北海道における文化的価値といえます。
本州とは異なる北海道の森林と広葉樹の世界
北海道には、ロシア等に分布するエゾマツ、トドマツ等の北方系の針葉樹と、ミズナラやカバノキ類、カエデ類など本州と共通する温帯性の広葉樹が広く混生する「汎針広混交林帯」と称する、本州とは異なる森林帯が広がっています。世界では東ヨーロッパとアメリカの東海岸一帯の3地域にしかみられない温体性の広葉樹を主体とした森林帯です。道内の大自然の美しい景観や多種多様な森林生態系を生み出すとともに、木材としても道産広葉樹材は家具や内装等に広く利用されてきました。
個性が光る道産広葉樹の世界へようこそ
広葉樹は材質も様々で、また曲がったり枝分かれしたり、その形容も多様です。通直ないわゆる目が通った形質を持つものもあり、虫が喰い菌類が住み着いて特別な模様を醸し出す材もあります。長い間生きているうちに枝分かれし、曲がり、折れ、それによりまた特異な形質を持つ広葉樹もあります。樹種も様々です。北海道にはほかの地域にはない多種多様な樹種と形質、特徴、いわゆるいきざまを持った広葉樹が残されています。ここでは、従来は欠点とされていたものを特徴と捉え、在庫のない個性あふれた一点物の道産材の価値を見出していただける方々に、少しずつ、大切に面白く使っていただければと思っています。ここに掲載したもの以外にも森林組合にはいろいろな製品がありますので、ぜひお問い合わせください。
ひだか南森林組合と道木連の拘り
ひだか南森林組合は、低質の広葉樹やいまでは非常に使いにくくなった大径の針葉樹の価値を高めるべく、新たに大径材製材が可能な製材機を導入し、また広く広葉樹資源を収集して、広葉樹や大径材に関心の高い方々やこれまでそのような材料を入手しにくかった方々に情報提供することによって、広葉樹の利用範囲の拡大に取り組んでいます。
また、競りや入札ではなく定額販売を通じて、その本物の価値を分かる方にお買い上げいただき、ともすれば競争原理の中で原木価格が低く押しやられてしまうことを避けようと思っています。
道木連は、道内木材産業振興の立場から、そのような先進的な取り組みを国の助成も得ながら支援していきたいと考えています。